よし笛ロード・散歩②

9月初旬、このコーナーで「ヨシ原の“穂“がそろってきた」と報告しました。今はどうなっているか、見てみると、西の湖や蛇砂川に“白い穂“の群生が見られます。

これらは、ヨシの穂ではないと思われます。下に、蛇砂川の白い穂の写真を示します。これは何でしょうか?

よし笛ロードにも同様に…

ヨシの穂ではありませんね。では何?

――「ススキ」??

ヨシとススキと大きな違いの一つは、葉が違います。どちらも「長細い葉」なのですが、ススキの葉には真ん中に白い筋が一本あります。では見てみましょう。

葉をアップすると白い筋が一本入っています。

これはヨシではありません。

一方、上は葉に白い筋がありません。

こちらは「ヨシの穂」です。

では、白い筋があるので「ススキ」でしょうか???

たしかにススキのように見えます。しかし、…

結論をいうと「ススキ」ではありません。「オギ(荻)」なのです。

つまり、これまでの白い穂は「オギの群生」でした。

オギもススキも、葉には白い筋があるのです。違いは「穂」自体にあります。

見た目ほとんど同じような穂をもつので、「ススキ」と「オギ」の区別はとても難しいです。

“穂“の先端を細かく見れば異なることがわかります。

ススキのほうが一般的なので、オギをススキだと勘違いしている人が多いかもしれませんね。

結論的にいうと、西の湖の湖畔、蛇砂川など川こ河川敷に群生しているのは、ほとんどが「オギ」です。

ススキはやや乾燥した日の当たるところで生育し(湿地では生育しにくい)、オギは湿地でないと生育できない、そう考えるとあまり間違えないでしょう。

また、ススキは“株立ち“で密集群生します。一方オギは、地下茎で広がっていき1本1本離れて群生します。

もちろんススキも、西の湖にもありますが、水際ではなく(湖岸・河岸から)少し離れていて小高くなったところで株立ちしていいると思います。

穂の違いを見てみましょう。

ススキは、穂の先端を拡大して見ると“芒(のぎ)“というトゲ状の突起があります。トゲ状の突起といってもバラのようなトゲではありません。麦にも芒があります。麦の穂の一粒一粒に長い髭が一本出ています。とくに大麦の芒はとても長く、多くの人が小麦と区別するポイントになっています。一方、ススキの芒は、比較して貧弱な芒なのです。

上は、ススキの株立ちの様子。根元に株があって放射状に広がっています。これは草津市水生植物園で撮影。

ススキの穂です。これを部分拡大してみると…

矢印の先に芒(のぎ)があります。芒のすべては矢印できないので、わかりやすいところだけ。髭のようですが、これがススキの芒です。麦の穂にはもっとはっきりした芒がありますが、オギの穂には芒がありません。

こちらはオギの穂の拡大です。

わかりにくかもしれませんが、オギの穂にもヨシの穂にも芒はありません。

下がヨシの穂の拡大。わかりにくいかもしれませんが穂の一粒に1本あるのススキのような芒はありません。たくさんある毛は芒ではないのです。

ということは、よし笛ロードの脇にある下の写真は……

オギのようです!

ススキかなと思ったのですが、これもオギでした。